夢のむこう側

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夢のむこう側

昔、泳ぐことが好きだった。 だから水泳部に入ったし、成績もそこそこ悪くないほうだった。 その日はインハイも近くて、遅くまで練習していた。    帰り道にあんなことになるなんて想像もしなかった。 突然飛び出してきた車を避けきれず俺は、全治二週間の怪我を負った。 顧問には、諦めろと言われた。 仲間には、仕方ないと言われた。 俺は、 「誰が諦めるもんか」 と言った。 そして全治二週間の体を引きずりインハイに出場。 まぁ、結果は惨敗で、居にくくなった俺は部を辞めた。 だけど、後悔はしてない。諦めなかったから。 そういえばあの時の声援、気持ち良かったなぁ…。 「望さん?」 突然名前を呼ばれて目を覚ますと目の前に紗幸が居た。 あまりに近い距離にドキドキしてしまう。 「なんでしょう?!」 何今の。 声裏返ってるし。 「これから出掛けましょう!もうお昼過ぎですし、ご飯食べて支度して下さい」 いつも以上に真剣な紗幸の声が俺を不安にさせた。 俺と紗幸は最後のデートに出掛けた。 名前も知らない駅をいくつも通り過ぎた。 「あと少しです」 と紗幸が言う度に不安は大きくなっていった。 初めて降りた駅から少し歩いたそこに、目的の場所があった。 「…病院…?」 日が沈みかけたころ、不安はさらに大きく渦巻いていた。
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