コトバのむこう側

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コトバのむこう側

『埴原望さまへ。  この手紙を読まれてる頃、私はきっとこの世には居ないでしょう。だから、私が何故貴方さまを選んだのか、ちんぷんかんぷんのことと思います。 私は、かつて貴方が出たインハイの応援に行きました。その頃、病気が発覚し、一生懸命生きることについて馬鹿馬鹿しく思っていました。しかし、貴方の怪我をしてまでも泳ぐ、という気持ちのおかげで、もう少し頑張ってみようかな、という気持ちになれました。その頃から、私は、望さんのことを好きになっていたんだと思います。 望さんは知らないでしょうが、廊下ですれ違った時、体育をしていた時、その全てにドキドキしていました。 最期の恋でした。     残念ながら、声での告白はもう出来ないのですが、こうしてコトバを遺すことは出来ました。 大好きです。ずっとずっと大好きです。これは最期の恋なので、この気持ちは死んでからも消えないと思います。 最後になりましたが、あの時、生きる勇気をくれて、有難う。   益川 紗幸より』
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