出会い

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『入学おめでとぅ優里』 『ありがとう、お父さん、お母さん』 私、黒川優里は高校入学の日を無事に迎えました 真新しい制服に包まれ両親といざ、入学式へ 『優里も16かぁ、早いな』 『なぁにお父さん、しんみりしてない?』 私は会社員の父と専業主婦の母、今は離れて暮らす3つ上の兄と4人家族 『早く友達出来るといいなぁ』 『優里ならすぐよ』 入学式は相変わらず長い校長の話、来賓の祝辞と永遠と続いた 早く終わらないかなと思っていると 『つまらないなぁ…』 隣の席の男の子がボソっと言った クスッと笑ってしまった私はハッとしてその子の顔を見た 『あっ、聞こえちゃった?』 『ごっごめん…』 『いいよ、つまらないのは確かじゃん』 よくその子の顔を見ようにも式の最中で見れなくて…横顔だけを見ていた 『かっこいい』 つい、思ったコトを口にして慌てていると 『よく言われる』 彼の言葉にまたクスクス笑ってしまった 式終了後、教室で話があり、担任と挨拶を交わす それもすべて終わり、帰ろうとしていると後ろの席の子に呼ばれた 『さっきはどぅも』 振り向くと彼だった 『あっ、ごっごめんね、さっきはつい…』 彼はニコっと笑い 『いいよ、俺、黒崎瞬、よろしくな、黒川優里さん』 『名前…?』 『黒川と黒崎、名簿近いから覚えちゃったよ、また明日な』 これが私と彼との出会いだった
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