7人が本棚に入れています
本棚に追加
/76ページ
人はそれに気付かなかった
人はそれを見つけられない
憎しみあい涙は枯れる
僕はそれに気付けなかった
人は何を求め探し彷徨う
人は誰の為に傷を付けあう
小鳥の声が朝を知らせる
僕はそれに気付けなかった
また夜が来る 風がすり抜ける
そして明かりが灯る
少しずつ近付いて 一人になる
分かり合う必要があった
僕は彼を招き入れた
人はそれに気付かなかった
人はそれを感じなかった
ただ彼の言葉を信じたかった
僕は彼に気付けなかった
誰かの為に 誰かの為に
幸運を掴めなかった人の為に
地図を無くしてしまった人の為に
悲しい連鎖にもがく人の為に
同じ空を見上げている人の為に
交差点ですれ違う人の為に
漠然として存在する誰かの為に
怒ることを忘れた人の為に
笑うことを忘れた人の為に
泣くことを忘れた人の為に
その満たされた水の
表面に触れたときに
彼は傷ついている
誰の為に…
僕はそれに気付けなかった
見えないふりをしていた
知らないふりをしていた
雲は空高く 両手では足りなかった
また夜が来る 風がすり抜ける
そして明かりが灯る
少しずつ近付いて 一人になる
夢から覚めるのが遅すぎた
このままどこに流れて行くのか
舵のない船 漂う海
僕はそれを知らない
でも
それを忘れてはいけない
乗り越えなければいけない
生きることは 恐怖を
克服すること
だから
それを忘れてはいけない
最初のコメントを投稿しよう!