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いつもそこにあるはずの道はなく
抉る為に用意されたナイフは
僕の喉元に向けられて待っていた
静けさを知らない街は
随分と前からそうであったように
暗い水の底 水面に月を揺らす
一瞬 飛んで また戻ります
すると 小さく波紋 広がって行き
泡がひとつふたつ昇って行くのです
月の輝きが失われていた
今夜も何処かで誰かが泣いている
SOS 君へ
僕はここにいるよ
お話をしてあげようか
子守歌を歌ってあげようか
SOS 君へ
僕はここにいるよ
僕は少しの間だけ
優しくなろうと
誓った
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