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人が飛んだ
飛び込み台の上から
バタフライと呼ばれて
人が飛んだ
といって僕らは賞讃して
反転しない世界に
粉々に散った人に
四角く縁取られた空を見て
ひとりはいやだ、と他人の肩越しに
放り出されるアーチを眺めた
い、す、わ、る、べ、き、だ。
日陰は何処からか忍び寄って
人から人に
斜めから垂直に
流れて行くのを
ゆっくりと飲み込みこんで
痺れと共に
力んだ肺を空に放った
何処まで行けるか
先の見えない外の広がり
鋭角な影は伸びて
僕らはまどろんで
意識の縁に見えるアーチは
僕らをむしばんで
手を伸ばせば消えてなくなる
き、消えてたまるか
世界は反転しない
と感じながら
僕らは
飛び込み台から
ジャンプする
レッツジャンプ!
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