日常

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あれから僕は電車で家に帰った。   横浜市、石川町。   全国でも有数の犯罪の町。   夜になれば、太陽など出てないのにサングラスをかけた柄の悪い人達が町を闊歩している。   僕はそんな町で一人暮らしをしている。   トイレ共同の風呂無し、6畳一間の小さいボロアパートだ。   家賃2万円。   石川町とは言え、横浜で家賃2万円は破格だ。   アパートは全部で6部屋あるが、現在僕を入れて2部屋しか使われていない。   僕は基本的に高い所は好きでは無いので一階の部屋に住んでいる。   もう一人のこのアパートの住人も、一階、僕の部屋と一つ離れた所に入っている。     「よぅ、帰って来たか。どうだったよ、病院。」     佐藤孝之。   このボロアパートのもう一人の住人。   24歳フリーター。   僕はタカって呼んでる。   タカと…   僕がトシ。   ……どこかのお笑い芸人みたいだな…       僕はなるべく平然を装って応える。     「別に。いつも通りの診察だけだったよ。」
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