人間への変質

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テルさんはちょっとの間、僕の顔を眺めてから、また奥の方へ戻って行った。   それからしばらく、悲美さんと雑談して、僕は帰ろうとした。     「じゃあ悲美さん、僕そろそろ帰るよ。暗くなってきたし、店閉めるでしょ?いつまでもいたら迷惑だし。」     客は僕一人だからね。   ……あれ?   っていうか僕、いつの間にか敬語じゃ無くなってる。     「あっ、ホントだ!暗くなってる!」     「じゃあそういうわけで、暇があったらまた来るよ。」     「あっ、トシさん!……あ、あの、何て言うかー…」     「………?」     「今日、夜、予定、あります?」     何故か悲美さんは、急にカタコトになった。     「今日ですか?いや、この後は特に何にも無いですけど。」     「ホントですか!?あのっ、じゃあ、あの、飲みに行きませんか!」     「飲みに?……はい、別にいいですけど。」     「ホントですか!?やった!じゃあまた後で会いましょっ!」     悲美さんはとびきり明るい笑顔で喜んでくれた。   僕なんかの気まぐれで、   明るい笑顔で喜んでくれた。
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