想い

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飲み始めてから1時間くらい経った。   悲美さんはアルコールが入れば顔に出る人みたいで、顔が赤くなっている。   僕は…別にアルコールが入っても何も変わらない。     「トシ君のさ、前の彼女ってどんな人だったの?」     突然悲美さんが聞いてきた。   前の彼女…?   僕、産まれてこれまで恋なんてしたことありませんけど?   …………。   あぁ…。   そーいえば初めて悲美さんと話した時、僕はそんな嘘を吐いていたな。     「どんな人って…別に。普通の人だったよ。」     「ふぅーん……普通…か。」     そう言って悲美さんは何か考え込むような顔をして黙る。   はて…   僕なんかまずい事言ったかな?     「ねっ!トシ君!カラオケ行かないっ?」     「カラオケ?んー…いいけど僕、全然うまく無いよ?」     「いいのいいの!よし!じゃあ行こう!すいませーん!お会計お願いしまーす!」     「あっ、いいよ悲美さん。ここは僕が払うよ。」     「いいよいいよ。今日はお姉さんがおごってあげる!学生君は黙ってなさい!」         うむ。   我ながら情けない。
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