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それから僕はテルさんのお言葉に甘えてドリンク代は奢ってもらい、駅に向かった。
行き先は悲美さんの自宅、桜木町。
テルさんに住所を教えてもらった。
「とっとと行ってちゃっちゃと答えを出して来い」との事。
最後にテルさんは、病気の事は悲美には黙っておいてやるよ、とシニカルに笑いながら言った。
僕は悲美さんに出す答えがどちらにしても病気の事は言うつもりはなかった。
だからテルさんが黙っていてくれるのは正直ありがたい。
……卑怯な奴だなぁ、僕。
というか、
今から悲美さんに答えを出しに行くというのに…
…まだ迷ってる。
今人生で一番迷って、悩んでるんじゃないかな…。
否、僕は迷ってなんか無い。
答えなど病院で先生と話す前から決めていた。
迷ってるふりをして自分を楽させてるだけだ。
本当に卑怯な奴だ。
悲美さんに出す答えは、
もう決めている。
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