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僕は黙って目的地に向かって歩く。
僕がさっきの一言を放った後、悲美さんは黙り込んでしまった。
何故だろう?
素直にほめたつもりだったのに。
「悲美さん?」
「な、なにかなっ?」
やっぱりちょっと狼狽している。
…まぁいいか。
「なんでテルさんがお父さんって事、隠してたの?」
「別に隠してたってわけじゃ無いけど…だってさ、父親があんなのって…嫌じゃん。」
あんなのとは…
テルさんも可哀想だな…
「ふーん。僕はあんな父親の方がいいと思うけど…。まぁ僕にはよく分からないけどさ。」
「そんなもんなのっ!」
「そんなもんですか…」
そこで僕の目的地に着く。
横浜みなとみらい、コスモワールド内にある大観覧車。
「着いたよ悲美さん。」
「着いたって……観覧車?」
「うん。」
「…………。」
「僕って用心深いからさ、誰にも聞かれたく無い話しは、誰にも邪魔されない所で話したいんだ。」
半分くらいは嘘だけど。
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