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それから僕は悲美さんを家まで送った。
「じゃあねトシ君。バイバイ。」
「うん、またね。」
そして僕はアパートに向かって歩き出す。
ちょっと歩いた所でふと振り返る。
すると悲美さんがまだ家に入らずにこっちを見ていた。
「トシ君っ!」
「………?」
「……大好きっ!」
いやいやいやいや。
恥ずかしいっすから。
道行く人が見てますから。
とりあえず僕は無言で手を振っておいた。
そして僕は注目を浴びつつ歩き出す。
どうしたんだろう悲美さん。
今日の悲美さんはなんかおかしかったな…。
なんか隠し事かな。
ふむ。
隠し事は嫌だな。
嘘吐かれるよりはマシだけど。
ていうか僕もでっかい隠し事してるしね。
余命3ヵ月。
先生は全力を尽くすと言ってくれてたけど、そんなのとりあえずドナーが見つからなきゃ意味無いしなぁ…
一応期待はしてるけど。
期待…ねぇ…。
99%の絶望と1%の希望。
今の僕の心境は、まぁそんな感じかな。
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