179人が本棚に入れています
本棚に追加
「ちょっと恋人にフラれたとこでしてね…」
なんとなく適当な嘘をついてしまった。
「そうですか…私で良かったら、話し聞きますよ?」
「…いや、これは僕自身の問題なんで大丈夫です。」
「…あははは。私なんかじゃ役不足ってとこですかね…。…あの私そこの海の家でバイトしてるんで、良かったらなんか食べて行って下さい!」
元気にそう言って後ろの方を指差した。
僕は彼女が指差した方を見る。
『海の家・ブラックオクトパス』
看板にはタコがサングラスをかけた絵が描かれていた。
ふむ。
僕的にはなかなか好感を持てるセンスだ。
他の人がどう思うか知らないけどね…
「私、悲美、一夏悲美って言います!」
突然自己紹介を始めた。
「一つの夏に悲しく美しいで、一夏悲美です。」
ヒトナツカナミ。
何か…
切ない名前だな…
最初のコメントを投稿しよう!