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次の日、僕は手術に挑んだ。
手術の前に射たれた麻酔で身体が動かなくなり、思考が薄れていく。
薄れていく思考のなか、僕は考える。
以前も考えた事を。
そう。
幸せの定義。
僕にとっての幸せ。
以前思考した時は答えが出なかった。
今ならわかる気がする。
僕にとっての幸せ。
それは「一生懸命普通に生きる事」。
以前悲美さんに夢を問われた時になんとなく答えた事だ。
その時はなんとなく答えたけど…
今は確信を持って言える。
僕にとっての幸せ。
とりあえず大学はちゃんと出る。
ちゃんとした所に就職する。
結婚して、子供が出来て、僕はその家族を守る。
子供が成人したら、奥さんと一緒に隠居。
そして…
出来れば奥さんと一緒に死にたい。
奥さんはやっぱり悲美さんがいいなぁ…。
そんな普通の、極々、至極普通の人生を一生懸命に生きたい。
それが…
僕にとっての幸せ。
答えが出た所で…
完全に麻酔が効いて、意識が無くなった。
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