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その日の夜(というよりも僕が目覚めた時点で夜だったけど)屋上に出て悲美さんに電話した。
プルルル…
プルルル…
プルルル…
…出ない。
どうしたんだろう?
もう寝たのかな?
それとも僕が3、4日音信不通だから怒ってるのかな?
くそ…とにかく早く病院を出たい…。
………。
抜け出すか…。
とりあえず僕は病室に戻り、病院に来た時の服に着替えた。
そして荷物をまとめて病室を出る。
正面入り口は閉まってるだろうな…。
そう思い、裏口の方へまわる。
…それにしても夜の病院は薄気味悪いなぁ。
そんな事を思いながら裏口に近付いて行くと、うっすらと人影が見えた。
…人影……
その人影の正体は白衣を脱いだ、私服姿の先生だった。
「どこに行くのかな?トシ君。」
「先生…抜け目無いですね。……そこをどいて下さい。」
「医者としてキミの退院を許すわけにいかないと言ったハズだが?」
「僕は大事な人に会わなきゃいけないんです。」
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