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「ふふ。以前のキミからは聞けなさそうな台詞だな。」
「茶化さないで下さい。」
「茶化してるわけじゃ無いさ。」
先生はそう言いながら道を開けるように廊下の壁にもたれかかる。
「…通って……いいんですか?」
「私は医者として、キミを退院させる事は出来ないと言ったんだよ。……あいにく、今の私は勤務時間は終わって今は医者では無い。」
ふん。
格好付けちゃって。
これだから医者は嫌いだ。
「じゃあお言葉に甘えて通らせてもらいますよ。」
僕は先生の横を通りすぎて裏口から出ようとする。
「…真実を知ってこい。」
「…?…今何か言いました?」
「何も言ってないよ。それより早く行かなきゃ巡回の警備員がやってきてしまうよ。」
「…ありがとうございます。」
ホントに、僕を助けてくれて…ありがとうございます。
僕は先生に一礼だけして、病院を出て行った。
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