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病院を抜け出した僕は桜木町の悲美さんの家に来ていた。
呼鈴を押そうとする手が一瞬止まる。
悲美さんは電話をしても出なかった。
3、4日連絡無しを怒っているのだろうか?
だとしたら謝らないと。
もしかしたら寝てるだけかもしれない。
…寝てるとこにお邪魔するのは悪いなぁ…。
ていうか夜中だしな。
テルさんが出てきそうだ。
……まぁいいか。
ピンポーン。
…………。
ガチャッ。
「あっ、どうもこんばんは、テルさん。」
やっぱりテルさんが出てきた。
「お、おうトシ君か。…手術成功したみたいだな。」
「…はい、ありがとうございます。…あの、悲美さ…」
そこで僕はある事に気付く。
僕はテルさんに病気の事は話したけど…
手術の事は話してない。
ましてや手術の日までなんて話してはいない。
何故テルさんは知ってる?
何か…
嫌な予感がした。
「…何故僕の手術の事を?……それより…悲美さんは?」
「………悲美は―――
―――死んだよ。」
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