幸せの真実(2)

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臓器移植。   悲美さんが脳の病気で死んだっていうんなら…   僕に心臓を移植する事は可能だろう。     ……だからなんだよ。   それは可能ってだけだろう。     そんな事信じられるか。   絵空事だよ。     僕の心臓が悲美さんの心臓だって?     「……バカけてる。そんな事……あり得ない。」     「……そりゃあな、俺だって信じたくないさ。娘の心臓が……他人の心臓になってるなんてな。」     「…………。」     何故……     何故僕を生かした……     悲美さんがいないなら、僕が生きてる意味なんて無いじゃないか。         なんだよ…     ホントに…     なんなんだよ。       「……悲美さんは何故僕の病気の事を…?」     「……?…トシ君が自分で言ったんじゃないのか?」     「いや、僕は病気の事は悲美さんには言って無いです。」     誰が…?     …………。     まさか…     僕は立ち上がり踵を返す。     「まてトシ君。」     走り出そうとした瞬間、テルさんに呼び止められる。     「悲美が最後に言った言葉だ。」     悲美さんの事だ。   なんとなくそれはわかった。           「幸せなまま死ねて良かった。……だとよ。」
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