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独りで生きていく強さを持ちたいと想い
住み慣れた故郷を離れ札幌郊外の大学に通い一人暮らしを始めて2年目
陽射しが眩しかった。
公園の木々が、激しい風にあおられて、空中を新緑の木の葉が妖精のように舞っている。
澄み渡った蒼空と自分を取り囲む緑、その世界の中心にいる。
この季節が過ぎて緑の妖精達が茶色いドレスに身を包んで旅に出ると、どこまでも純白の世界が拡がる。
この街で一番長い季節、視界から一瞬にして全ての色彩を奪いさる世界。
それは人の罪や罰を浄化するかのように…
今は生命が産声をあげる一時の季節なのだ。
「もう そろそろかなぁ…」
強い陽射しに目を細めあどけない顔に似合わない皺を眉間に寄せて、億劫そうに身を持ち上げて背伸びする。
公園のベンチの寝心地は、お世辞にも良いものじゃないが、降り注ぐ陽射しを浴びて街の雑音を聴きながら眠りの世界に身を委ねていると話は別だ。
『悪くなぃ…』
みっちり詰まった大学の授業の合間をぬって優雅に昼寝なんてしていたのには理由がある。
一人暮らしを続けて行くのに親の仕送りに頼っている部分はあるが自分なりに自立したいという気持ちもあり
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