逆転の味噌ラーメン

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某月某日。             快晴とは言えないまでも、空は晴れ渡って絶好の散歩日和とでも言えるだろう。             しかし、成歩堂法律事務所。 ここで所長をしている男、成歩堂龍一と副所長の綾里真宵は断固として事務所から出ようとしなかった。                                 「なーるーほーどーくん!!」             「ま、真宵ちゃん……びっくりしたなぁ、もう……大声出さないでよ」             「だってなるほどくんが味噌ラーメン食べに連れていってくれないから」                       わがままを言いながら地団太を踏む彼女を見て大きくため息を吐いた。             しかし、彼女がわがままを言うのも当然といえば当然だった。             仕事に追われる毎日の連続で、大好きな味噌ラーメンを一週間以上も食べさせてもらえないとなれば、さすがに文句は言う。             だが、常人ならばそのくらいなのだろうが彼女は違った。             それはまるで禁煙に耐えられないヘビースモーカーのようとでもいうのだろうか。             仕事中の机は揺らし、来客者用の煎餅をポイポイと投げつけている。
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