111人が本棚に入れています
本棚に追加
/360ページ
「う、う~ん………」
水魔はまばたきを数回すると立ち上がり辺りを見回した。体にはまだ微かに痺れが残っていた。
「ここはどこだ?」
今いる場所は先ほどの晴れ晴れした空ではなく、黒ずんだ紫に染まり、植物は枯れはてていた。
明らかにさっきまで自分がいた世界とは違う世界だ。
ふと隣を見ると、神が寝ていた。
「おい、起きろ神」
「あ~だめだってそんなとこさわっちゃ…」
「また変な夢見てんなこいつ…」
「ふざけてねぇでさっさと起きろ神!」
「あ~愛してるよさゆり~~!」
「誰だよ…」
「おい!いい加減にしねぇと……」
「さゆり~~~!!」
神の頭に水魔のこぶしがHITした。
「いってーな!今いいとこだったのに邪魔すんなよ!」
「エロい夢ばっかみてんじゃねーよ馬鹿!」
「いいーだろ別に!」
「そんなことより周りをよく見ろ!」
「え?周り?見たところでなんにも変わらな……あれ?ここどこ?」
「さっきの気絶が原因だと思うんだがな」
「じゃあ夢なんじゃねーの?」
「おまえさっき夢見てたろ!」
「あ、そうだったな。ハハハハハハ!」
(ガサ)
「ん?」
不意に水魔が辺りを見回す。
「どうした水魔?」
「今何か物音がしたような気がする…」
「鼠じゃねーの?」
「いや、殺気を感じる」
「人か?」
「わからない。だが油断は出来ないな」
二人は先頭体勢に入った。水魔は飛沫を構え、神は手足に風を集中させた。
その時!枯れた茂みから一匹の巨大な猿が飛び出してきた!
「な、なんだこいつ!?」
神が驚くのも無理はない。猿といってもテレビで見るよーな猿ではない。
腕や足は丸太のように太く、目は赤く瞳孔は開いていた。おまけにかなりのでかさだ。
「やるしかねぇみたいだな水魔…!」
「ああ。話が分かる相手じゃなさそうだしな」
話が決まった二人は猿目がけて走りだした。
最初のコメントを投稿しよう!