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淡いピンクのカーテンから柔らかな日差しが差し込んでくる。
ここは都心と言っても街中から少し離れた所にあり人工的な雑音はあまりしない。
腕を思い切り伸ばして背伸びをすると、昨日の出来事が夢のように感じる。
旦那はどうしているかしら?
帰って来ない私を心配してくれていると思う。
今思うと優しい旦那だったわ。
好き勝手している私を見守ってくれていた。
過去形なのが寂しいわね。
あの優しい笑顔…会いたい…
しかし、今はダメよ。
私がどうして二つの顔を持っているのか。
どうして記憶を失ったのか。
専業主婦と女スパイ、どちらが本当の私なのか…
それを確かめるまでは安住の地へは帰らない。
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