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ごめんね涼。
ごめんね啓介。
ごめんね菜都。
春菜は一人屋上で涙をながしていた。
「春菜-!!やっぱりここにいた!!!!」
菜都が扉をあけ出てくる。
春菜は急いで涙をぬぐった。
「ん??菜都。どうかしたの??」
「ん??じゃないわよ!!美術手伝ってくれるんでしょ?行くよ!!」
涙に気付いてない様子の菜都。
胸をなでおろし、かけよった。
――美術の課題を残していた菜都。
2人だけの美術室で
菜都の鉛筆の音だけが響いた。
春菜は開け放した窓から心地よい風に涼んでいた。
「お手伝い春菜。黄色とって。」
横から唐突にいわれ
あわてて水彩絵の具のケースに手を伸ばす。
「!!」
(全部色がぼやけてみえる…。)
春菜は平然を装って絵の具を取って菜都に渡す。
赤色を。
「春菜…。」
手を止めて菜都が見つめる。
「ごめん!!間違った!!こっちだね!!」
「―春菜!!!!!」
菜都が春菜を抱き締める。
春菜の手から黄緑の絵の具が落ちた。
「ばか春菜。どうして私に何もいってくれないの!!!!知ってるんだから!!あんたが毎日屋上で泣いてることも、涼と連絡とってないってことも!!」
菜都はなきながら叫んだ。
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