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また来た………
そう思いながらストレートの髪をかき上げるのは、今年15歳になったばかりの『竹川衣流』
ベランダへと歩きながら、少々苛ついた口調で
「今度は誰……?」
と呟いた。
日によって来る人物は変わるようだ。
毎日来るので、本人はうんざりしているのが明白だった。
下には黒目黒髪の同い年くらいの少年が立っていた。
「こんにちは、お嬢様。お迎えに上がりました。外出の準備は整っておりますか?」
そう言われた衣流は、普段断っている筈の誘いに何故か乗り気になった。
別に何があるわけでもない。気が変わっただけ。
「待ってて。支度してくる」
「仰せのままに」
パタパタというスリッパの音と共に、部屋に入っていった衣流。
少年は軟らかい笑顔を向けていた。
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