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別の路地では二人が対峙していた。
「じゃ、いくぜ」
宇津が心臓に手をかざし目をつぶる。
これが彼なりの集中の仕方だった。
「一気に決めるぞ」
宇津が落ちていた石を拾い、投げる。
石は男の真上の電灯に当たりガラスの破片がパラパラと落ちてくる。
「目眩ましのつもりか?こっちから行くぞ!」
影よ出てこい。
男が念じると熊の形をした影が現れ、宇津に襲いかかった。
だが、宇津の拳はそれよりも速く熊の影を殴っていた。
「残りはお前だけだ」宇津がダッシュで近づく。
「馬鹿め、影よ集まり盾に……」
そこで気付く。影が、でてこない。
「影は光がないとできない、だから電灯を割ったんだ」
「くそっ、影、影、影」
すがるように影を求めるが光が無くては影はできない。
「最後に教えてやる、俺の能力は、回転だ」
殴られた瞬間、男の体が回転しコンクリートのブロックに叩きつけられる。
そのまま男はぐったりとし動かなくなった。
「さて、と。あっちはどうかな?」
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