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あたしは途方に暮れていた。
…ありえない…
…ありえない…。
あたしの目の前には崩壊した我が家。
クレーンが崩れたコンクリートの欠片を運んでる。
一体何がどうしたっていうの?
ねえ…
あ!
お父さん達は?
「どこに居るんだろ…」
あたしはケータイを取り出し、お父さんの番号に電話を掛けようとした。
…つながらない。
あたしのケータイ、解約されてる…?
なんで?
いきなり?
本当にわけがわからない。
「とにかく何とかしなきゃ…」
あたしは、あたしの家を破壊している機械を操作している人たちに、外から指示を出している偉そうな男の人に歩み寄った。
「あの…?」
無視。
「あのぉ!」
…ちょっとこっちを見る。
でも無視。
「ちょっと!返事しなさいよ!」
あたしは怒鳴った。
すると
『なんだよ?』
思ったよりも若い声で、その偉そうな男はいかにも面倒くさいという返事をして、こっちを向いた。
あたしは一瞬ひるんで、黙ってしまった。
『だから、なんだよ?』
黙り込むあたしにイラつく男。
「あっ…」
あんたねえ!
と叫ぼうと思ったのに、言葉が口から出て行かない。
この人、なんて…
なんて…
美形…!
めちゃめちゃ綺麗な顔立ち…切れ長な二重の目に、すっと通った鼻筋。整った唇。
かっ…カッコい…。
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