器の小さい男

始

初めてあったのは春になったばかりの肌寒い季節だった。

いつものようについた新規のお客様。
いつものようにお酒を作り、煙草に火をつける。

どこから来たんですか？

そんなくだらない話から始まる会話。

可愛いね。

隣にいた男が言う。

いつものこと。

お酒飲まれてるからですよ。

いつもと同じように返す。
キャバ嬢落としたいだけの小僧だって思っていた。
私の働くお店にはあまり若い人はこない。
３０手前のお洒落な男。

身につけているものでは社長には見えなかった。
気さくでいい人だったけど 可愛いなんて言われ続けてうんざりしていた。

誉めて落ちるほどキャバ嬢歴は浅くない。