第一章/オールブルーの空

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          ──503号室。 そこには、「真由理」が担当する患者が一人、今日も只遠くの空を眺めていた。 「今日もまた眺めていたの?」 「あぁ、先生。だって今日は雲一つないんだぜ?何だか本当に綺麗なブルーでさ、ワクワクしちゃって」 真由理が担当するこの患者は、重度の鬱でこの病院へと運ばれてきた。過去数回の自殺未遂。 此処へ運ばれてきた時もそうだった。 傷だらけの体、苦しそうな瞳。ただ彼は「死にたい、死にたい」と繰り返しながら、真由理の腕を掴んだものだった。 「じゃあ今日は一緒に屋上へ行こうか」 「え?!」 「さぁ、行こう」 患者を一人で出歩かせてはいけない。それが精神病棟の鉄則だ。真由理は微笑んで彼の手をとった。
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