今日は恋曜日

10/29
2453人が本棚に入れています
本棚に追加
/149ページ
 その日は朝から秋晴れで、どこまでも透き通るような青空が広がっていた。  こんな日は特に楽しい予定がなくてもウキウキする。でも今日はウキウキするイベントがあるから、潤の気持ちはさらに明るかった。  念願だった運転免許は3日前にゲットできた。今日は次の目標だった、自分の車が届く日だ。  潤は軽い足取りで車を購入した販売店に向かっていた。  車のキーを手にしたなら、一番最初に行くところはもう決めてある。  それは4日前に決めた。  もう、迷いはない。  潤は決心していた。  新車を見せたい相手、会って話したい相手はたった一人しかいない。  販売店が見えてきた時、携帯が鳴り始めた。 「もしもし? 丸岡先生?」  かけてきたのは丸岡だった。 「くらちゃん、最近見かけないと思ったら、夏休みなんだって?」 「そうです。時期外れで夏休みってカンジじゃないですけどね。…どうしたんですか? 先生仕事じゃないんですか?」  また飲み会の誘いなら断るつもりだった。 「仕事だよ。今昼休み。…どうもね、何だかやる気がでなくてね…。はぁ…」  丸岡にしてはやけにテンションが低い。患者の容態でも悪いのだろうか?
/149ページ

最初のコメントを投稿しよう!