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その日は朝から秋晴れで、どこまでも透き通るような青空が広がっていた。
こんな日は特に楽しい予定がなくてもウキウキする。でも今日はウキウキするイベントがあるから、潤の気持ちはさらに明るかった。
念願だった運転免許は3日前にゲットできた。今日は次の目標だった、自分の車が届く日だ。
潤は軽い足取りで車を購入した販売店に向かっていた。
車のキーを手にしたなら、一番最初に行くところはもう決めてある。
それは4日前に決めた。
もう、迷いはない。
潤は決心していた。
新車を見せたい相手、会って話したい相手はたった一人しかいない。
販売店が見えてきた時、携帯が鳴り始めた。
「もしもし? 丸岡先生?」
かけてきたのは丸岡だった。
「くらちゃん、最近見かけないと思ったら、夏休みなんだって?」
「そうです。時期外れで夏休みってカンジじゃないですけどね。…どうしたんですか? 先生仕事じゃないんですか?」
また飲み会の誘いなら断るつもりだった。
「仕事だよ。今昼休み。…どうもね、何だかやる気がでなくてね…。はぁ…」
丸岡にしてはやけにテンションが低い。患者の容態でも悪いのだろうか?
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