魔球誕生

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初めてグローブを買ってもらった。 桜井 未来(さくらい みらい)四歳の春。 この日を境に横に住んでいる 星野 翔(ほしの しょう)と近くの公園で遊ぶようになり、毎日キャッチボールをしていた。 「未来! 何回も落としてんじゃねぇよ!」 「うっせぇー! 俺の剛速球受けれねぇーくせに!」 「未来がめちゃくちゃ投げるからだろ!」 「はいはい、言い訳しないでさっさと座りな」 これは誰に影響されたのだろうか? 幼稚園児にしては生意気な奴らだ。 毎日こんな感じで、自然とバッテリーが完成していた。 未来の投げる、"めちゃくちゃな球" 文句を言いつつも翔は毎日相手をしていた。 翔もボールに慣れたのか、いつしか未来の投げる"めちゃくちゃな球"を言い訳することもなく、普通に受けれるようになったのだ。 毎日、同じ相手のこの二人にとって、これは普通の光景だった。 "めちゃくちゃな球" それが魔球だとも気付かずに…… 「未来のボールすげぇなぁ」 「ふん。どうせ、"めちゃくちゃな球"ですよーだ」 「でも受ける瞬間めちゃくちゃ曲がるんだぜー? どうやって投げてんだよ?」 「普通に投げてる、ただそれだけ」 「嘘つくな俺にも教えろぉー」 「やーだね。 お前は黙って俺様のボールだけでも 捕っとけばいいんだよー!」 言うまでもなく 未来もすごいがそれを受ける翔もすごいだろう。 それにしても 毎日キャッチボール。 馬鹿の一つ覚えのように毎日飽きもせずに。
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