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あいかわらず、派手な格好がよく似合う。
おそらく、自分でもカッコイイと思って着ているに違いない。
海をバックに潮風に揺れる前髪をさっと掻き分け、爽やかな笑顔を振り撒く九に、船の甲板にいる女性たちの黄色い声と熱い視線が一斉に向けられる。
……どこが、俺に適わないって?
「ったく。よく言うぜ。どこが適わないって言うんだ?北のナルシスト名探偵九紅(イチジククレナイ)先生がさー」
え?
俺の心の声を弁明するかのように不躾な言葉を淡々と話したのは、九の隣に立つ男性だった。
灰色の無造作な髪は前髪が長く左眼を覆い隠し。人当たりのよさそうな優しい顔立ちで背はすらりと高い。
「敏晴(トシハル)。ナルシストは一言余計だろう?ユーこそ、東のプレイボーイ名探偵と言われているじゃないか」
敏晴?九の知り合いか??
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