FILE.0【デスウイルス殺人事件1】

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 【Gray・Brain・Quartet】  直訳すると――灰色の脳の四重奏。  エルキュール・ポアロ、か?  推理小説の女王と謳われるアガサ・クリスティーの生み出した名探偵エルキュール・ポアロは 『私はエルキュール・ポアロ。世界で最も偉大な探偵です』  そう自分で豪語するほど自信過剰でナルシストだが、どこか憎めないユーモラスな探偵だ。  なるほど……。九たちが、そう呼ばれていた理由が何となく分かる。  ちょっと呆れつつも納得する俺の肩に、ポンと手がかけられる。  え?  驚いて顔だけ背後を振り向くと 「よう、久しぶりだな。鶴にレッド」  そこにいたのは、漆黒のYシャツに同色のジーンズ。  オールバックの黒髪に鋭く吊り眼がちだが、整った綺麗な顔立ち。  褐色の焼けた肌に、顔中切り傷だらけで、すぱすぱと煙草を吸う……見るからに警察関係者には見えない男性がいた。 「九十九警部!!?」
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