FILE.0【デスウイルス殺人事件1】

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 珍しく九十九は、ノーネクタイでラフな格好をしていた。  その隣には、見たことのない女性が立っている。  あれ、誰だろう?まさか……まさか九十九の恋人か!!?  腰元まで流れる漆黒のストレートヘアーをなびかせ、黒と白のコントラストが艶やかな牡丹柄の着物を身に纏っている。  黒眼が人形のようにぱっちりと大きく、キリッと整った高い鼻に柔らかそうな朱の唇。  すらりと長身のスレンダーで大和撫子な雰囲気を漂わせた、あどけなさの残る幼い顔立ちをした女性だった。 「ん?何だ鶴??……ああ、風如(フユキ)が気になるのか?」  俺の視線に気付き、にやにやと意地が悪そうな笑みを浮かべたまま九十九は、風如という名の女性を自分の胸元へと引き寄せた。 「こいつはな――レッドで言うところの、俺の大事なハニーだ」
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