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海の彼方から、ひっそりと姿を現したのは全体的にでこぼこと赤黒い岩壁に覆われ、緑が少なく鳥が一匹も飛んでいない不気味な孤島だった。
確かに――ちひろの言う通り、血に染まったような島だな。
その島を見た時、俺は背筋に何か冷たいものが走るのを感じた。
この時の俺は気にも留めていなかったが――全てが終わった今なら分かる。
それは、これから起こる戦慄の事件を、本能が予言しているような……そんな不可思議で嫌なかんじだった。
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