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空との境目が分からないほど鮮やかで美しい群青色の世界。
綿毛のようなふわふわの入道雲と同色のかもめの群れが、その青の中に自然に溶け込んでいく。
照りつける灼熱の陽光に眼を薄らと細めながら、俺はデッキの柱に背を預け海を見つめていた。
思わず、あの歌を口ずさみたくなるな……。
【海はぁ~広いなー大きいにゃー】
そうそう、海といえばこの歌だよな……ってあれ?この声どっかで聞き覚えが――??
【空も青いしー雲も青いし~死体の顔も青いーー】
若干オリジナルな不吉な歌詞で歌っている少女に、俺は視線を走らせた。
シックな黒のワンピースに、お団子頭の二段重ね。
くりっと栗鼠(リス)のような大きく丸い瞳が印象的な可愛い部類に入る顔立ち。
「ち、ちひろ!!?どうしてここに?」
イトコである小鳥遊ちひろ(タカナシチヒロ)は、俺を見るなりにこっと微笑んだ。
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