夏の始まり

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「人じゃないって……じゃあ、一体何なんだよ?」 返事を聞くのが少し怖いが、探求心にかられ聞いてみた。 「三十一年前、白霊山で起きた事件の生き残り……とでも言えばいいかしら?」 俺に話し掛けた方の子が坦々と話した。 「三十一年前の事件の生き残り?!そんなの有り得ない!!だって、あの事件では全員死んだんだぞ!!それに……こんな小さい子供が三十一年前の事件の生き残りだなんて……どう考えてもおかしい」 明らかに十代前半ぐらいの背丈しかないのに……そんな奴等が三十一年前の事件の生き残りって……おかし過ぎだろ。 「じゃあ何で私達に触れなかったの?」 今まで黙っていたもう片方の子が言ってきた。 確かにそうだ。もしこいつらが存在しているなら、あの時肩には触れたはず。 それが出来なかったっということは…… 「確かにそうだけど……」 未だに信じられないでいた。 触れない時点で人間でないことは明白だ。 でも、だからといってこいつらを幽霊だと認めるのはどうかと思う。 しかし、これだけ現実を見さされているのだから認めざるをえないのだろう。 「理解した?私達は人間じゃないってこと」 タイミングを見計らっていたのか、俺の思考が終わったのと同時ぐらいに今まで俺に話し掛けていた子が言ってきた。 「あ、ああ………」 まだ整理は出来ていないが、認めることにした。
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