夏の始まり

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「でもね、私達は幽霊だから出来ることに制限があるの。」 妹の方が、姉の説明の補足のような感じで言ってきた。 今まで二人は、過酷なことをしてきたんだろうな。 俺はこの二人じゃないから、どんなことがあったかなんて分からないけど、二人は長い時間頑張ったはずだ。 「実直に言うよ。私達に協力して。」 妹が俺にお願いしてきた。 「無謀な願いだってことは分かってる。それに、あなたに関係ないことだってことも……。でも、私達じゃ、もうどうしようにもないの。だから……」 頭を下げたまま、上げようとしない。 「……頭上げろよ。俺みたいのでいいんだったら……」 俺が返事を言おうとしたら、姉の方が口を挟んできた。 「言っておくけど、このことに生半可な気持ちでやるのはやめてよ。これは命だって掛かってるんだから。」 俺に対しての警告だろう。 でも、俺も遊びでやるつもりはない。 「今、俺が関わろうとしていることは決して簡単なことじゃないことぐらい分かってる。でも、俺が力になれることはとことん力を貸してやりたいんだ。それに、俺にだって無関係な話じゃないんだから。」 「?」 二人共、俺の最後に言ったことに理解出来ないでいる。 二人には悪いけど、今は言うつもりはない……。 「だから……よろしくな」 俺は二人に手を差し伸ばした。 二人も、俺の手を握ろうと手を伸ばした。 たとえ触れなくても、握手は出来た。 今日から、俺の夏休みは始まった。
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