双子

2/4
223人が本棚に入れています
本棚に追加
/158ページ
森の木々の間をゆっくり歩いていく。 目的地があるわけでもないのに、歩く。 蝉の鳴き声が五月蠅いぐらいに聞こえてくる。 「お姉ちゃ~ん」 後ろから、私と同じ色のワンピースとサンダルを履いた子が駆け寄ってきた。 「ぼーっとしてると置いてくよ」 妹のるいは、すぐに色んなものを見てぼーっとする癖がある。 「ごめんね、お姉ちゃん」 両手を合わせて、妹が謝った。 「……蝉、沢山鳴いてきたね。」 妹が、悲しそうな顔をして言った。 「また……あの日が来るのね……」 また……あの日が……
/158ページ

最初のコメントを投稿しよう!