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「…………」
図星だったため、その学生は黙り込んでいた。
「どうやら当たってるみたいですね…」
先輩は学生に脅し混じりで言った。
「行くのをやめろと……? 」
小さい声で学生は言った。
「分かってるなら話が早いですね……」
私は安堵した気持ちの状態で言った。
しかし、学生は眉間にシワを寄せていた。
「冗談じゃない……。今更予定をキャンセル出来るわけないだろ……。だいたい、俺達に呪いなんかがふりかかるかよ。馬鹿馬鹿しい」
このごに及んでこいつは何てことを……!!
既に人が死んでいるのに……
「……お前……」
私はこいつの態度にイラつき、思わず近寄ろうとしたら、先輩が学生の顔を見たまま、私を止めていた。
「あなた……世の中馬鹿にしてますね。あの山では現に三十年近くも人が死んでいるのに、それが噂だと……。ここまできたらもはや噂ではない。人為的な人殺しなのですよ……」
その時、私は先輩の後ろにいたからどんな顔をしていたかは分からないが、声が声色であった。
ここまで怒ってる先輩は初めて見た。
きっと顔はとてつもないことになっているだろう。
面と向かい合っている学生は、顔が青ざめている。
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