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私達は、三十年前に死んだ両親のかたきを討つために、この世界にいるけど……
「もう今年で、三十一回目ね……」
結局同じことの繰り返し。
いつもこの山に訪れた人、みんな死んでいってしまった。
「悲しいね……」
るいが囁くように言った。
「仕方ないわよ……私達は、普通の人じゃないんだから……」
誰にも見えない、誰にも触れない。
誰にも私達のことなんて、分かるわけなんだから……
森を抜けて、山を下り、今は街に来ている。
特に用があるわけじゃないけど、時代の流れは知っておこうと思って…
「この街も変わったね。」
「最近は技術の発展が速いからね。」
少し大人びた会話を妹としていた。
ちなみに、私達があの日死んでいなかったら今では四十路のおばさんになっていることになる。
歩道橋の階段を昇ってる時に、後ろから騒ぎ声が聞こえた。
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