真実へ…

27/30
223人が本棚に入れています
本棚に追加
/158ページ
~公園~ 「懐かしいね。ここ」 何かを懐かしむかのように渚紗が言った。 「懐かしいって、何が? 」 「皆が初めて出会った場所だよ。覚えてないの!? 」 ああ……そういえばそうだったような気がする。 ………あれは入学式の後だったかな。 俺は学校帰りに、この公園に立ち寄った。 人のいない所で、少し落ち着きたいと思っていた時に、ベンチに二人の少女が何かを探していた。 それが、渚紗と玲だった。 玲のコンタクトが落ちたらしく、探していたらしい。 俺も一緒に探していると、今度は後ろから一人の男が話しかけてきた。 それが、晃だった。 これが、俺達四人が初めて出会った時だった。 結局、コンタクトは見つからなくて、俺は落ち込んでいたが、玲と渚紗が何回も礼を言ってきた。 それから、全員同じ学校だということから話が盛り上がり、親しくなっていった。 今になって思えば、とても昔の出来事のように思えた。 「本当に……懐かしいな」 晃は、あの時立っていた場所に立っていた。
/158ページ

最初のコメントを投稿しよう!