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信悟君を帰した後、窓越しで先輩の取り調べを見ていた。
相変わらず、あのジャーナリストはヘラヘラしている。
呑気にカツ丼が食べたいなど言っている。
「……いい加減話したらどうなんだ? 」
警察の意地と言うものだろうか。
先輩は呆れながらも、取り調べを続けている。
「そんな怖い顔しないで。もっと気楽にいきましょうよ」
相手も相手で、全く懲りていない。
確かに、今回の件は証拠がないため、私達に彼を拘束する力はない。
彼はそれを分かった上で言っているのか、それとも彼自身の性格なのだろうか。
心が全く見えてこない。
「どうせ、取り調べなんかしても証拠も何もないんだから、もう帰してくれてもいいでしょ? 」
……やっぱりこいつは自分の立場を理解していた。
こういう人ほど、相手にすればかなり厄介なのだ。
「貴様……付け上がるのも大概にしろよ」
眉間にしわを寄せた先輩が、相手を睨みつけていた。
「まぁ、俺はアンタ達よりかは真面目にやってるんですけどね」
この辺ぐらいから、空気が一気に変わった。
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