夏の始まり

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渚紗のイタズラは、高校に入ってからずっと受け続けてきたことだ。 聞く話によれば、渚紗のイタズラは小学生の頃からずっとやっているらしい。 何故イタズラをしてくるのかは全く分からないが、受ける側としてはかなり迷惑だ。 これさえなければ、付き合いのいい友達なのに…… しばらく追いかけて、ようやく渚紗の制服の襟を掴むことが出来た。 「手間ァ……取らせやがって……」 息切れをしながら、眉間にしわのよった状態で俺は言った。 「そんな怖い顔しないで、もっと落ち着こうよ」 渚紗は全く怖さを感じていないみたいだ。 確かに、毎回のようにこんなことをしているから、見慣れてしまってるらしい。 「誰のせいで、こんな怖い顔をしなきゃいけないと思ってるんだよ!! 」 「あのさ信悟……」 会話に割って入るように、晃が出てきた。 「なんだよ、俺は今取り込み中なんだよ」 俺は気持ちを落ち着かせて言った。 「痴話喧嘩もいいけど、後ろも見てみろよ」 「誰が痴話喧嘩!……って、後ろ? 」 晃の言ったことを否定する前に、後ろに威圧感を感じた。 俺と渚紗は、恐る恐る振り返るとそこには…… 「城崎………秋元………随分と元気だなぁ……」 見事に先生に捕まり、指導室へ連行されてしまった。 俺の視線の奥には、晃が合掌していた。
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