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しばらくして、ようやく大音量のスピーカー並みの説教が終わり、俺達は解放された。
「お勤めご苦労」
廊下で待っていた晃が言ってきた。
「疲れたよ」
俺は肩を落とした。
「本当にね~」
「お前が言うな渚紗!! 」
このことはお前が原因だというのに…
呑気な奴だよ、まったく。
「あっ、解放されたんだ。お疲れ」
晃の横にいた同じクラスの玲が声をかけてきた。
「朝のHRもう終わったのか? 」
玲は委員長で、いつも朝のHRを仕切っている。
「もう既に終わってるよ。ついでに言うと、あと少しで終業式始まるよ」
俺達はそんなにも先生の説教を受けていたのか…
「さぁ、もう行こうぜ」
晃の声で、俺達は動きだそうとした時だった。
俺は、掲示板のある記事に目が止まった。
『白霊山連続惨殺事件から一年、事件は未だ解決せず』
一面に大きく載せられた記事に釘付けになった。
「………………」
あの事を思い出すと、今でもあの人を思い出す。
こんな事件さえなければ、あの人も今頃は…
「信悟~行くよ~!! 」
渚紗が俺を呼ぶ声で我に返った。
「悪い悪い。今行く」
適当に言って、その場を乗り過ごした。
俺は何度もあの記事の貼ってある掲示板を見ながら、終業式の会場へ走った。
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