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別れはうまくいかなかった。でも私と和哉が付き合い始めたことを知ると、さすがにあきらめがついたようだった。
そして『友達』になろうと努力した。付かず離れず。
今思えば、私も離れたくなかったんだ。邦彦を失いたくなかった。
気付かなかったけど、まだ好きだったから。
ある夜、邦彦がうちに来た。「一緒にご飯が食べたい」と言ったので、うちに入れた。
その時、和哉もうちを訪ねてきたのだ。邦彦は逃げるように帰っていった。私は冷静を振る舞った。だって、「友達」だったから。
次の日の朝、邦彦がうちに携帯を忘れていったので家まで届けに行った。邦彦は布団にくるまっていた。具合が悪いのかと手をかけると、
「触るな」
と言われた。
「その手はあいつのどこ触った手だよ?汚らわしい!」
汚らわしい
それ以来、邦彦と連絡を断った。
忘れていると思ってた。忘れられると思っていた。
それから一年弱たった夏の日、邦彦からメールが来た。
「久しぶり✨元気してた?てか、彼女できた😆🎶」
喜びたかったのに、喜べなかった。ショックを受けた自分にびっくりした。
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