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全部忘れたつもりだった。まだ邦彦を好きだと気付かなかったんだ。ほんとに、全然、気付かなかった。
その日から、食べたものをすべて吐くようになった。体がだんだん不調になるにつれて、闇が私の心を包む。何も知らずに優しくしてくれる和哉に、答えられなくなった。
なぜ今更?私は和哉を好きなのに?その気持ちは間違いないのに?なぜ?なぜ和哉を何も疑わずに好きでいられた頃に戻れないの?
幸せが逃げていく。
愛に。夢に。自分の選んだ道に。
知らないふりをして来れたのに、疑問から逃げられなくなった。
自分の心が自分を責め立てる。和哉への気持ちは本物なの?邦彦をまだ忘れられないくせに。今の大学で学んでいて満足?本当は他にやりたいことがあるくせに。
助けて
私は
間違っていたの?
汚らわしいこの手……
この自分
悪いのは私
きれいになりたい
きれいな自分に
汚れていない自分に
そして血を流しだす
すべての血が入れ替わって
すべての疑問が私から出ていけばいいのに
汚い過去を
流し出せたらいいのに
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