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「あい?」
最近、和哉はただいまを言わなくなった。お邪魔しますも言わない。
ドアを開けたとたん、私の安否を確認する。
私が何も言わないので、急いで部屋に入ってくる。
私はベッドに俯せに寝ていた。腕をベッドから出し、だらしなくぶらさげたまま。
和哉は私の腕をやさしく掴み、ベッドの端に座る。
「またやっちゃったんだ……」
優しそうな言葉とは裏腹な、疲れとか、少しの苛立ちとかが混じっているのが私にはわかる。
そんな嘘のつけない和哉が好きだ。
気付いてほしくて腕を外に出してるんじゃない。ただ寝具を汚すのが面倒なだけ。ただ、それだけだよ。
頭をずらして和哉を見る。
悲しそうな顔をしている。
ごめんね…
学校が終わるとすぐにうちに来てくれる。ここ最近はほぼ自分のアパートには帰らず、朝か昼休みか学校が終わってから着替えを取りに帰ってうちに泊まる。
私がこうなってから、バイトも止めて付きっきりになってくれた。
ごめん
わたしはもっと強いはずなのに……
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