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「かずや」
ん?という目で和哉はこっちを見る。
「ごめんね」
「もう、しない?」
「うん」
和哉は笑顔を見せるが、内心笑っていないのがわかる。
ごめんね
でも
「そばにいて。どこにも行かないで」
和哉がうなずいたのを確認すると、私は目を瞑った。浅い眠りに引き込まれていく。
人が行き交う、楽しくて騒がしい雰囲気。
大きなファッションビルや喫茶店などが並ぶアーケード街を私は歩いていた。楽しい。楽しくて仕方がない。こんな気分は久しぶりだ。
店と店の間の小道に入ると。
私の体は固まった。
邦彦!
私は
愛しい人を見つけた
でも
隣には女の子
ふたりはとびきりの笑顔で話ながら、私のそばをすり抜けていった。
そうだった
知っていた
私は一年も前に
彼を失った
私が捨てたんだ
私は正しかったよね
ねぇ、邦彦
状況はどう?
ねぇ
目の前が闇に包まれ
目が覚めた
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