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「あいっ!あい!」
息が、
できない
苦しい……………!
「あい!落ち着いて、これ当てて」
和哉が口元に紙袋を持ってくる。
このまま
もっともっと苦しくなって
死ねたらいいのに
しばらく紙袋を当てて呼吸をしていると苦しくなくなった。
「また怖い夢、見たの?」
寝ていなかったのに……
ぽろり、と一粒の涙が出ると、それが合図のように、体の中から感情が沸き上がってくる。
「切りたい切りたい切りたい切りたい切りたい………………!!」
カッターを探して家中を引っ繰り返す。
どこにもない……また隠された。
「あい…ごめん」
どうして、和哉が謝るの?謝るのは私なのに………
ああ、そっか
わたしはあなたを裏切っている。
こんなに優しいあなたを……
裏切っているんだね。
だから、あなたは殺そうとしたんだね
死ななきゃ、殺される
でも私を殺せば、あなたは罪を背負って生きることになる
私のために、そんなことさせられない
何が、正しくて
何が間違っていたのか
邦彦を失った時、それは新しい旅の始まりだと思った。
お互いのためだと思った。
これが正しいんだと思っていた。
そして、優しくて温かい和哉を選んだ。
私は、間違っていたの?
ねぇ邦彦
教えて
どうしたらあなたを忘れられるの?
そして夜中、私はまた切った。今までとは比べものにならないくらいの血を流し、気を失った。
目覚めた時は
病院だった
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