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「…リーンクー」
「はぁい。どうしたの?ルキ」
今から…地球上で言うなら約十年前。
天上界から地球を覗いていたルーキーが、退屈そうに口を開いた。
「地球に行っちゃだめですかー?」
「馬鹿。死にかけて帰って来たくせに。アロ様にも当分は禁止されてるでしょ」
「…はい」
「じゃあ大人しくしてるんだね。暫くは願いの力も適量を保つはずだから、ゆっくりしようよ」
「うー…」
「唸ってもダメだよ。言う事聞かないならキレるからね」
「………」
他人に対しては穏和なリンクだが、弟…ルーキー相手では容赦がない事はルーキー自身が一番良く知っている。
素直に諦めてベットに横になると、座っているリンクの髪で遊び始めた。
「…本が読みづらい」
「暇なんです」
うねうねとねじったり、編んでみたり。
暫くは色々と遊んでいたが、そのうちに飽きてしまったらしい。
はぁ、とため息をついて寝転がりながら、今度は自分の髪を見た。
赤くて細い、長い髪を。
「リンクー」
「んー?」
「僕、初めてキレイだって言われました。リンク以外で」
「髪?」
「はい」
そう、ごろごろと寝転びながら。
ルーキーは数日前に会った少年の事を考えた。
初めての体験を沢山させてくれた、幼い少年の事を。
「またいつか会えたらいいね」
「…そうですね」
そんな風に微笑み合いながら
二人は静かに、ひとときの休暇を愉しんだ。
数年後に
再びその少年と再会する事を夢見ながら―…
END.
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